目次 (クリックで各ページにジャンプします)
・糸島プロジェクト研究の特徴
・調査方法
・共同注意の発達メカニズム
・発達障がいのスクリーニング
・実践的療育
発達研究の取り組み
糸島プロジェクトでは、
①乳幼児健診での共同注意行動に着目したスクリーニング問診項目を作成する
②共同注意行動の出現時期を標準化し、共同注意の発達メカニズムを解明する
③乳幼児健診後の二次スクリーニングや療育体制の充実を図る
という3点の目的から、発達研究を行いました。
そのために本プロジェクトでは、生後8か月からの、大規模な縦断的コホート調査により、共同注意を萌芽とした、定型のコミュニケーション発達のメカニズムを解明する【前向き調査】を行いました。それと同時に、そのコホートから発達障がいの確定診断が下った子どもがいた場合、それまでの調査結果をさかのぼり分析することで、定型発達児との差異を明らかにし、障がいの初期徴候を解明する【後ろ向き調査】も行いました。
糸島プロジェクトの特徴
糸島プロジェクトでは、コミュニケーション行動の定型発達の解明と、それに基づいた発達障がいの早期スクリーニング、さらに発達障がい児や気になる子に対する実践的療育支援体制の構築の三位一体のデザインを基本に、研究を行っています。(図1参照)
発達のアセスメントに関しては、大規模サンプルからスクリーニングするテストツールの開発と同時に、より詳細に発達障がいを診断するための、自閉症スペクトラム診断のゴールドスタンダードであるADOSを用いた、2段階のアセスメントを行います。
同様に療育支援体制も、家庭を中心とした一次的支援と、専門職が関わる二次的支援の2段階の支援体制を構築します。この支援には、保育士、保健師、幼稚園教諭、小学校教諭、言語療法士、医師、特別支援学校教諭、臨床心理士など、幅広い専門職種が携わることが特徴です。
そしてさらに、上記のような専門的な支援の担い手だけでなく、地域に関わる全ての人間が、発達と、その障がいに関して理解することを目指し、発達コロキウムなど、市民への啓発を図る場も作り、文字通り「みんなが応援団」となることを狙っています。
このような、多職種が多層的に連携する「糸島方式」によって、社会総がかりの支援ネットワークという新しい地域文化の創生を目指しています。
図1 糸島プロジェクトのグランドデザイン